2013.09.20

結核と非結核性抗酸菌症について③

患者さんから「入り口わかりにくいね~」とご指摘いただくことも多く、「間違えて、一階の脳神経外科にはいったわ~」という方も数人いらっしゃって、ご迷惑をおかけしておりました。このほど、めでたく(?)入り口案内の看板をビルの角の植え込みに出させていただきました。

さて今日はクオンティフェロン検査(QFT)についてです。結核の血液検査で、陽性であれば結核感染が疑われます。そして一部の非結核性抗酸菌感染でも陽性になります。ただし、過去の感染か、現在の感染か・・・は考えて評価することになります。似たような検査で昨年冬よりT-SPOTという検査も出ています。こちらのほうが免疫状態が悪くなってもわかりやすいとも言われていますが、もう少し報告をみたいところです。検査のやり方がこちらのほうが簡単なので、こちらに移行していくのかな?とも思います。

これらの検査が最近注目をあびるのは、リウマチなどの治療で生物学製剤を使用する際にBCGを使用してきたわが国では潜在性結核感染症(LTBI)を診断するために有用であるからです。生物学製剤を使用すると潜んでいた結核が発症することがあります。そのため、LTBIの方では生物学製剤使用の少し前から結核治療を始めます。このLTBIの診断は胸部レントゲンやCT、ツベルクリン反応やQFT/T-SPOTで総合的に判断することになります。

ただ、日本の高齢者、60代以上の方では幼少期から青年期にかけて自然に結核菌に感染していることも多く、陽性で出ることが多いので判断は難しいときがあります。役に立たないという先生も一部にはいらっしゃいます。

非結核性抗酸菌の一部でも陽性になることは忘れてはいけないところです。

2013.08.08

結核と非結核性抗酸菌症について②

じりじりと焦げるように暑い日が続いています・・・プールによく行く長男はずいぶん黒くなってきました。

来週半ばに4日間お盆休みをいただきます。よろしくおねがいいたします。

さて、肺結核の検査の解釈ですが・・・

なにをおいても肺結核の検査の1番は「喀痰検査」です。

この検査で痰の中に顕微鏡で見ただけで結核菌の存在が認められれば、入院となります。昔で言う、結核予防法、今で言う感染症法で定められております。これは、痰に結核菌がすでに認められていることから、人へ感染させるリスクが高いため入院となるわけです。逆に、痰にはすぐに認められないものの、培養であとから菌が生えてきた・・・という場合は人への感染リスクは低く、外来治療となります。重症度は入院だと高いと考えることができます。人への感染リスクの観点から、喀痰検査は非常に大切です。検査にもっとも適しているのは朝一番の痰です。基本的には3連痰といい、3日間検査することが望ましく、教科書的なのですが、保険診療では時に認めていただけないこともあり、悩ましいところです。ただ、注意として、見ただけでは結核菌か抗酸菌かの区別はできず、確認としてDNA検査を行い結核菌である証明ができたところで確定診断となります。痰に結核菌を目視で認める場合の結核を排菌結核という言います。つまり排菌結核は入院となります。

次の検査は画像診断、つまり胸部レントゲンやCT検査です。

最低限胸部レントゲン検査を行いますが、レントゲンでははっきりしないものの疑わしい場合はCT検査をおこないます。肺結核に特徴的な画像で痰では菌が検出されなくとも、症状とあわせて肺結核と診断されることがあります。これは臨床診断といわれるものです。この場合は菌もでていませんから、入院せずに外来治療になります。

ほかには胃液の抗酸菌検査があります。痰がなかなか出せない方の場合、胃液から抗酸菌の検出がないかをみる検査です。絶食で来院いただき、鼻から胃にチューブを入れ、胃液を採取し検査します。これは、痰が出なくとも、結核菌が出てきていれば、唾液とともに飲み込まれ、胃から検出できるという考えに基づいています。

昔からある検査はツベルクリン反応ですが、BCG接種をするわが国では、あまり診断には役に立ちません。それは、BCG接種でツベルクリン陽性反応が出る方が多いからです。余談ですが、海外ではBCG接種をいたしませんので、診断として十分使用可能です。海外留学される方でツベルクリン反応を記載する欄に陽性記載され、手続きに困られる方がいらっしゃるようです。国によってはツベルクリン陽性反応イコール結核感染となるからです。そんなときに、最近ではクオンティフェロン検査を行い、その結果をさらに添付する方法が用いられるようです。

さて、このクオンティフェロン検査ですが、血液検査です。血液で結核もしくは一部の非結核性抗酸菌症の感染を見極める検査です。この検査はリウマチなどの生物学製剤治療とも最近は密接な関係にあります。この検査については次回に書かせていただきます。

2013.07.24

結核と非結核性抗酸菌症について①

今朝は雨の音で目を覚ましました。朝からムシムシしています・・・

最近、非結核性抗酸菌症の相談にいらっしゃる方が増えました。非結核性抗酸菌症、昔は非定型抗酸菌症ともいいました。菌の名前からMAC症とよばれることもありますが、それは非結核性抗酸菌症のなかの一つをさします。

字のごとく、抗酸菌のなかで、結核菌以外の抗酸菌感染を非結核性抗酸菌症と呼びます。

抗酸菌という菌のグループにはたくさんの菌がいますが、有名なのは結核菌です。

結核菌は人から人へうつり、時には命にかかわる病気を引き起こします。映画やドラマの中でやせた登場人物がゲホゲホ咳をして、口を押さえて、血を吐く・・・比較的日本の明治から戦後までを描いた作品の中に多い場面です。これは肺結核を描いたものです。他にも結核菌によるものは「脊椎カリエス」や「腸結核」をはじめ、脳や腎臓、リンパ節など、さまざまな臓器に影響を及ぼします。

「肋膜」や「肺浸潤」と昔呼ばれていたこともあり、これは「結核」と同義ととらえます。60代以上の方ではよくこの言い方でお話されることがあります。

肺結核は減ってきているように思われがちですが、日本ではまだまだ患者数が他の先進国と比較すると多い状況です。意外と若い方で最近多いようです。

最近では若い芸能人のかたで入院された方もいらっしゃいますが、入院する場合と外来治療の場合とどう違うのでしょうか?どんな症状が出て、どんな検査をして、治療をどのようにするのでしょうか?順番に書かせていただこうと思います。

さて、今回は、どんな症状が出れば肺結核を疑うか?受診すべきか?ですが・・・

2週間以上咳が続く、体重減少した(やせてきた、もともとやせている)、微熱が続く、痰がでる、血痰が出る、胸が痛い、背中が痛い、息苦しい・・・このような症状があれば、一度レントゲンをと考えます。とくに10代後半から20代で痩せていて、不摂生な状況がうかがわれ、先のような症状があれば疑いは強くなります。入院した芸能人の方が肺結核で入院したと聞いたとき、医療関係者の多くは、驚かなかったと思います。いかにもこの典型例にあてはまるからです。

このような症状があれば、まず受診し問診で必要であればレントゲン検査、痰の検査が必要です。

次回は検査結果の解釈と入院・外来治療のちがいについて、書かせていただきます。

診察時間(受付時間)

*初診の方は受付終了30分前までに来院してください。

*当院は祝祭日は休診です。

*臨時休診日は随時HPに掲載させていただきます。ご確認をおねがいいたします。

※泌尿器科専門医診察は

2022年12月で終了いたしました。

*2024年2月1日より変更

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