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2012.08.24

前立腺がん1

前立腺がんという病気をご存じでしょうか。プロゴルファーや芸能人等が診断を受けられ、マスコミで発表される機会も多くなってきましたので、ご存じの方も多いのではと思います。

男性特有のがんで、2020年には肺がんに次いで男性がんの2番目に多い病気になるといわれています。とくに多いのは50歳以降で、その率は年齢とともに上昇します。

前立腺がんにかかっているかどうかは採血し、PSAという腫瘍マーカーを測定することでおおむね判断ができます。PSAとともに必要に応じて直腸診、腹部超音波検査、MRI等の検査を行います。

早期診断し早期治療を行えば、恐れることはない病気です。当院でも対応しておりますので、是非一度採血を受けてください。

次回は確定診断の方法、治療に関して説明します。

2012.08.22

中皮腫裁判に思うこと

中皮腫の裁判が控訴され継続となることを新聞で読みました。新聞では小さな扱いでしたが、この記事に私は目をひかれました。

学生時代には「中皮腫はあまり見ない病気、昔は組織判定で診断も難しく、病理医が集まって投票で決めていた」と、講義で聞いた記憶があります。

中皮腫で有名な大学に勤めていたわけではないわりには、私は比較的多く、中皮腫の患者さんを担当させていただきました。はじめて中皮腫の患者さんを担当させていただいたのは、今裁判をしている工場に比較的近い病院でした。そのころはまだアリムタもありませんでした。上司は「なんのケモ(化学療法)やっても効かへんのや。手術できればいいけど、してもあとがしんどいはなぁ。」といい、苦しめるだけの化学療法に異論をもち、治療に消極的でした。その先生に、「なんでこの病院には中皮腫の人が多いのですか?めったにない病気と講義ではならいましたけど?」とたずねると、「・・・・○○○が原因なんや。あの工場の周囲に患者さんの家を旗たててみろ。このへんの呼吸器の医者はみんな、そう思ってる。」とボソッとうつむいて答えてくれました。「でも、女性が多いですよね?」ときくと、「それはな、みんな持って帰った作業着をかあちゃんが洗うやろ。だからなんや。洗う前に、粉払うやろ?昔の洗濯機は外やった。だから、家に工場の人間がいなくても周囲の家の人間もなるんや。だから、専業主婦でもなるわけや・・・」

その後勤めた数軒の病院でも中皮腫の患者さんを担当することがあり、原因(石綿との関連)を探すもののはっきりしないことは多かったです。また、これまでは造船所のあった地域などで多いとされていましたが、今後は震災のあった阪神間、東北は数十年後に中皮腫が増える可能性もあり、アリムタ以上の治療薬の開発を期待したいと思います。アリムタは確かに副作用は大きくなく、使いやすい薬剤で効果もこれまでの薬剤より「ある」とは思います。ですが、この効果は『わずかな』生存期間延長でしかありません。医師にとって、学者にとっては『有意で大きな』生存期間延長というデータですが、患者さんにとってはまだまだ、『わずか』でしかないと思います。それでも、この治療にかけ、やせ細り、これ以上は体力を消耗するだけという状態でも「もう一度、アリムタで治療して欲しい、おねがいや。」と懇願された患者さんのことを私は忘れられません。

今現在係争されている患者さんとそのご家族にとって納得のいく判決が出ることを願います。

2012.08.21

尿失禁3

今日も夕方から雨でしょうか?実は先週の土曜日に大阪で大雨に遭遇しました。一瞬で周囲が暗くなり、ひどい雨と雷。はじめて、「この雷こわいなぁ~」と思いました。その後、数人の方が雷で命をおとされたというニュースをみて、驚きました。本当にひどい雷と雨でした。木には近づかない、建物の中にはいる・・・気をつけたいと思います。

本日は前回の続き、「切迫性尿失禁」です。
トイレに行きたくなったけれど間に合わずにもれてしまう、これが「切迫性尿失禁」です。「腹圧性尿失禁」と異なり、基本的には薬物療法です。膀胱が勝手に収縮する過活動膀胱が原因で、膀胱の動きを押さえる薬を内服していただきます。「切迫性尿失禁」に関しては女性だけでなく、男性の前立腺肥大症でもみられる症状です。
 
また「切迫性尿失禁」は、ときに「腹圧性尿失禁」を合併する「混合性尿失禁」を呈することがあります。
 
何かわからないことがあればお気軽にご相談ください。

2012.08.10

尿失禁2

もうすぐお盆ですね。当院もお休みを来週1週間いただきます。

患者さんから「お盆はどこも閉まって・・・」と言われます。そんなときに開いているところは?大きな『病院』は開いています。勤務医時代に「先生たちは盆は休まんのか?」とよく言われました。勤務医の場合は交代で休みますので、若手は盆以外に休みを取ることになります。偉い先生は盆休むがとれますが・・・開業医となりますとスタッフや出入り業者の関係などから、やはり盆に休むことになります。医院によっては10日ほどおやすみされるところもありますね。当院は13日(月)から18日(土)までお休みさせていただきます。

さて今回は尿失禁その2、です。

前回お知らせしましたように、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の診断、治療に関してのお話です。まずは腹圧性尿失禁です。

 腹圧性尿失禁とは、立ち上がったり咳をしたときにおこる「尿もれ」のことです。ほとんどが女性の症状で、女性ホルモンの低下や出産による骨盤底筋の筋力低下による「尿もれ」です。症状により診断がつき治療を開始します。

 治療は一般的には骨盤底筋強化目的の骨盤体操、尿道のしまりを強くしたり膀胱の過活動を抑える薬を内服する薬物療法です。なかなか骨盤体操等の地道な努力が苦手な方には、電気刺激で筋力を強化する方法があります。電気刺激といっても肩こりの時に使うような低周波刺激です。痛みはありませんのでご心配なく。これで改善しなければ手術療法を検討する場合があります。昔々のようにお腹を大きく切ったりはしません。いまは尿道近くにメッシュのテープを挿入する簡単な方法があります。股の間に数mmの傷が2カ所できるだけです。(厳密にはこれに加えて膣壁に1.5cm程度の傷が1カ所できますが、外からは見えません。) これだけで劇的に治ります。ただしこの手術で治るタイプの「尿もれ」かどうかは、膀胱造影というレントゲンの検査が必要になります。

 手術はどうも、という方はまず手術以外の方法をお試しになられたらと思います。手術をご希望の方には数多く手術治療をされている病院をご紹介いたします。

 

2012.08.08

血痰2

朝は少し涼しくなってきましたね。

さて、前回の回答です・・・

1気管支拡張症と3肺がんが正解です。

この問題を作るとき、選択肢に肺結核を入れるか悩みましたが、ベタなのでちょっとマイナーな気管支拡張症にしました。肺がんで血痰は有名です。

この問題にはバリエーションがあり、

1気管支拡張症、2気管支ぜんそく、3肺がん、4非結核性抗酸菌症、5間質性肺炎の選択肢にすることで、

ちょっと難易度が上がります。正解は1,3,4です。

このように肺がんや結核以外にも血痰が出る病気があります。他にもいくつかあります。

血痰には新鮮な赤いものから少し古い茶色や黒いもの、血が線状か点状に混じっているものか痰すべてが血のものか・・・といろいろな血痰があります。血痰を認めたときには早い目の呼吸器内科受診がよいと思います。

ちなみに、肺の病気ではなく血痰が出るものもあります。たとえば義歯があっていないことや鼻血の落ち込みが原因のように歯科や耳鼻科てきなものもあれば、比較的多いのが、肺に結核後遺症や古い炎症性の変化などがあるかたでバイアスピリンやワーファリンなどの俗に言う「血液をさらさらにするお薬」を飲まれている方でも血痰がでます。その場合はワーファリンが効きすぎていないかなどを確認して対応していきます。

昔の話ですが、血痰を訴えてこられたかたでレントゲンで肺がんが見つかった方がいました。これだけだとよくある話ですが、CTで評価をすると、「この場所でこの大きさで血痰がでるか?」と何人もの呼吸器内科医が首をかしげた影でした。しかも血痰は一度だけで、その後は一度も出ませんでした。患者さんは「神さんが知らせてくれたんやな」と笑ってらっしゃいましたが、本当にそうだなと感じさせられました。よくある話に健診でのレントゲン異常で受診された患者さんで指摘された肺と反対側の肺に肺がんが見つかるというものがあります。これも「おしらせ」なのかもしれませんね。何かあれば、早い目に検査をすることが病気の早期発見につながるように思います。

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