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2015.10.13
チメロサールフリーワクチンについて
インフルエンザワクチンの季節となりました。
ご存知の方も多いと思いますが、今年から4価ワクチン(A型2種、B型2種)となり、原価が昨年の1.5倍となりました。そのため、当院も値上げを検討いたしましたが、今年は価格を据え置きとさせていただくことにしました。当院はチメロサールフリーで一人用シリンジタイプのため、通常より原価が高いのですが、これは私のこだわりですので、変えることなく頑張ることにしました。ですが、来年消費税が10%になった際には再考させていただくかもしれません・・・
インフルエンザワクチンは医院により値段に差がありますね。自由診療といえ「なんで?」と思われませんか?その理由はいくつかあります。多くのワクチンを仕入れるので仕入れ値が安いから安くできる医院、バイアルタイプで2人分使った残りをいくつか集めてもう一人分を用意する医院、かかりつけの患者さんへのサービスで原価のみでがんばる医院・・・一般的にはワクチン原価+処置料+診察料で設定されています。そのため3500-4000円の医院が多くなります。
さて、本題のチメロサールについて書かせていただきます。
チメロサールとはエチル水銀化合物で、ワクチンの防腐剤として使われています。多くのワクチンはガラスの小瓶にゴムキャップがされています。この小瓶から何度も針を刺してワクチンを使用していた際にこの小瓶の中のワクチンに病原体が混入されてしまったという出来事が過去にありました。このようなことの防止のためにこの防腐剤が添加されるようになりました。
ここ数年このチメロサールを含まないワクチンを望むという方が増えてきました。その背景は米国でチメロサールと自閉症との関連を問う声が上がったのがきっかけでした。ただ、この関連性については現在明確な根拠はなく、米国のある機関が正式否定をしています。エチル水銀はメチル水銀(水俣病の原因)とは異なり蓄積性はなく、速やかに排泄されます。それゆえ安全とされています。しかしながら、エチル水銀の影響は未だ明確ではありません。
WHOはメチル水銀の一番影響を受けやすい胎児の問題から各国に向けてチメロサールを可能な限り減量し将来は代替剤を開発し、ワクチンの感染を防止する方向を各国に勧告しています。そして、わが国でもワクチンのチメロサール含有量は減量され、ここ数年のワクチンは1990年代のワクチンの約1/10だそうです。
ここまで、読まれて「?」となりませんか?私がチメロサールフリーワクチンを採用する理由がここにあります。
チメロサールが安全というならななぜ、減量する必要があるの?という疑問です。日本人は魚も多く食べますし、ワクチンの防腐剤程度の水銀量を気にするのか、といわれればそれまでですが、安全だと言い切るならば減量の必要はないのでは?と私は思いました。(あくまでも、これは私の個人的な考えです。)であれば、私の医院ではチメロサールフリーの商品があるならばそれを使おうと考えました。そして、防腐剤を含まないワクチンですのでワクチンの感染対策としてシリンジタイプ(一人用使い切り)を使用することにしました。