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2015.04.14
妊娠中・授乳中の処方について 当院での処方基準
妊娠・授乳中の女性に対して当院では必要に応じて処方を行っております。
明確な基準に基づいて処方いたしております。
今回はその基準をご紹介させていただきます。
日本には国立成育医療医療研究センターに妊娠と薬情報センターがあります。
このセンター長である村島先生とトロント大学トロント小児病院臨床薬理部長の伊藤先生が編集されている『妊娠と授乳』という医学書に主だった薬剤の総合評価や考察がかかれています。開院前に村島先生の講演会を拝聴させていただき、この基準を基本とさせていただくことにいたしました。
他には国内では虎ノ門病院の基準があります。海外ではアメリカFDAの基準、オーストラリアの基準があり、これを参考にさせていただいております。
妊娠中の喘息治療は特に大切です。吸入ステロイド薬の使用については過去にしっかりとしたデータがあり問題なく使用できることが立証されています。アレルギー専門の先生で妊娠中は使えないというような説明をされる先生がいてという相談を受けたこともありますが、世界的に認められている治療であることを説明しご理解いただいております。
小児科の先生の中には、『授乳中のお母さんが飲んでも大丈夫ですよ。大半のお薬は大丈夫ですから』と話して下さったそうで、そう先生がおはなしされていたから大丈夫でしょうと話される方もいらっしゃり、医師の説明がいかに大切かを考えさせられました。
私が駆け出しのころ、ある病院の当直に行ったとき、臨月の大きなおなかの妊婦さんが点滴をしながらぜーぜーと苦しそうにベッドに横になれず、一晩中苦しまれていたことを思い出します。喘息の治療薬が赤ちゃんに悪いのではないかと心配され自己中止された結果、臨月になり大きな発作となり、一番望んでいなかったはずの点滴での治療をせざるをえなかった方です。喘息がひどくなれば赤ちゃんに届ける酸素も少なくなり、結果として一番大事で守りたい赤ちゃんを苦しめてしまうことになってしまう・・・
ちゃんとコントロールして安全に出産をむかえていただきたいという思いはこのときの経験があった上に、自分が母になり子を思う母の気持ちを実感できたからかもしれません。また、子育て中に体調を崩すと、本当にしんどいし早く良くなりたいと思う気持ちがありながらも、授乳中に薬を飲むことの不安・・・・これを何とかできればという思いもあります。
長くなりましたので、今回はこのあたりで。