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2013.08.08
結核と非結核性抗酸菌症について②
じりじりと焦げるように暑い日が続いています・・・プールによく行く長男はずいぶん黒くなってきました。
来週半ばに4日間お盆休みをいただきます。よろしくおねがいいたします。
さて、肺結核の検査の解釈ですが・・・
なにをおいても肺結核の検査の1番は「喀痰検査」です。
この検査で痰の中に顕微鏡で見ただけで結核菌の存在が認められれば、入院となります。昔で言う、結核予防法、今で言う感染症法で定められております。これは、痰に結核菌がすでに認められていることから、人へ感染させるリスクが高いため入院となるわけです。逆に、痰にはすぐに認められないものの、培養であとから菌が生えてきた・・・という場合は人への感染リスクは低く、外来治療となります。重症度は入院だと高いと考えることができます。人への感染リスクの観点から、喀痰検査は非常に大切です。検査にもっとも適しているのは朝一番の痰です。基本的には3連痰といい、3日間検査することが望ましく、教科書的なのですが、保険診療では時に認めていただけないこともあり、悩ましいところです。ただ、注意として、見ただけでは結核菌か抗酸菌かの区別はできず、確認としてDNA検査を行い結核菌である証明ができたところで確定診断となります。痰に結核菌を目視で認める場合の結核を排菌結核という言います。つまり排菌結核は入院となります。
次の検査は画像診断、つまり胸部レントゲンやCT検査です。
最低限胸部レントゲン検査を行いますが、レントゲンでははっきりしないものの疑わしい場合はCT検査をおこないます。肺結核に特徴的な画像で痰では菌が検出されなくとも、症状とあわせて肺結核と診断されることがあります。これは臨床診断といわれるものです。この場合は菌もでていませんから、入院せずに外来治療になります。
ほかには胃液の抗酸菌検査があります。痰がなかなか出せない方の場合、胃液から抗酸菌の検出がないかをみる検査です。絶食で来院いただき、鼻から胃にチューブを入れ、胃液を採取し検査します。これは、痰が出なくとも、結核菌が出てきていれば、唾液とともに飲み込まれ、胃から検出できるという考えに基づいています。
昔からある検査はツベルクリン反応ですが、BCG接種をするわが国では、あまり診断には役に立ちません。それは、BCG接種でツベルクリン陽性反応が出る方が多いからです。余談ですが、海外ではBCG接種をいたしませんので、診断として十分使用可能です。海外留学される方でツベルクリン反応を記載する欄に陽性記載され、手続きに困られる方がいらっしゃるようです。国によってはツベルクリン陽性反応イコール結核感染となるからです。そんなときに、最近ではクオンティフェロン検査を行い、その結果をさらに添付する方法が用いられるようです。
さて、このクオンティフェロン検査ですが、血液検査です。血液で結核もしくは一部の非結核性抗酸菌症の感染を見極める検査です。この検査はリウマチなどの生物学製剤治療とも最近は密接な関係にあります。この検査については次回に書かせていただきます。
コメント
胃液採取で結核菌が検出された場合は排菌結核の扱いになりますので入院となります。
胃液に検出されるということは肺の病巣から結核菌が少なくとも咽頭喉頭まで出てきているということになります。
それを嚥下したために胃液から検出されたということになります。咽頭喉頭まで出てきているということは、咳で口から外へ出ていき、ヒトヒト感染の可能性が出るという考え方になります。
山中義行
最近胃液採取で結核と、診断されました。2010に、肺に出来物が出来て、たんで、検査しましたが、反応なく、最近肺の出来物が、大きくなってる事から胃液検査しました。結核反応でした。
せきたんなしでも入院でしょうか?
これまでエリスロマイシンだけで治療をされてきたのは、おそらくは副作用の懸念からでしょうか。血痰が増えてきている状況で長年アビウムが検出されるということであれば、やはり3剤(リファンピシン、エタンブトール、クラリスロマイシン)の治療に切り替える時期ではないかとは考えます。ご心配されているように、これらの内服で食欲が落ちたり、倦怠感がでることもあります。その場合は減量や2剤にするなどして、診ていきます。ただ、副作用も心配ではありますが、喀血が大量になれば、生命にかかわることになりますので、CTで進行と判断されれば、トライしてみることをお勧めしたいです。また、食事面などですが、肺疾患の場合、体重減少が著しい場合がありますが、いかがでしょうか?胃の事もありますが、できればBMIという指標で20くらいはあるほうがよいと考えられます。
肺疾患のある方で18くらいまでになると生命予後への影響があるとされています。(22が標準体重という指標です)複数回の食事でも、少しカロリーの高いものを食していただいたり、マヨネーズなどをかけてカロリーをあげていただくこともひとつの方法です。肺疾患があり痩せ気味の場合は1600Cal を目標として食事していただくよう勧めています。また、気管支拡張症の場合は感染つまり、かぜなどが喀血のきっかけになりますので、手洗いやうがい、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチン接種で予防をしていただくことも大切です。最後に、入浴の際などに血痰が増える状況や喀血するようならば、気管支動脈閉塞術をカテーテル治療ですることもひとつの方法です。ただ、合併症もありますので、状況で判断することになる治療ですが・・・
田部佳子
千葉県在住の70歳になる主婦です。4年前より非結核性抗酸菌症(アビウム感染)・気管支拡張症で2か月に1度呼吸器科の定期受診をし、エリスロマイシン600ミリ/1日の投薬を受けています。30代で胃癌切除手術を受け、その後、重い肺炎
を患い、3年間は療養生活の日々を過ごしました。その後は、
低血糖症などがありましたが、通常の健康状態で過ごしてまいりました。この病は薬の効果は期待できないそうでうが、
最近、度々血痰が出ます。喀痰検査では、毎回培養でアビウムが検出されていますが、菌の量が少ないので、今後、CT画像で進行が認められれば、リファビンやエタンブトールなどを加えて投薬するとの方針を聞いていますが、胃の残存が3分の1ですので、副作用も心配です。免疫力を上げる食事療法やウォーキングなどを実行していますが、高齢のため、喀血や更なる進行が心配です。ご意見を頂ければありがたく思います。